季節性情動障害(季節性うつ病)とは?症状や診断は?【うつ病の種類】

ある季節にのみうつ病を発症する季節性情動障害(季節性うつ病)
季節性情動障害(季節性うつ病)とは、うつ病のサブタイプの一つであり、ある季節にのみ、体のだるさや疲れやすさ、気分の落ち込みなどの症状が出るようになる気分障害です。
季節性情動障害は、大うつ病と同じように、気分が落ち込んでイライラや不安を感じたりします。
また、体がだるく感じたり、睡眠や食欲に異常をきたしたりもします。
季節性情動障害のなかでも、10月から11月に始まる冬季うつ病においては、特に過眠過食になる傾向があります。
そのため、炭水化物や甘いものをよく摂取するようになりますので、倦怠感から運動量が減って体重が増加しやすくなってしまうほか、過眠から生体リズムが狂ってしまい、昼夜逆転してしまうことによって、規則正しい生活が送れなくなります。
季節性情動障害は決まった季節が過ぎれば嘘のように症状が消えてなくなってしまいます。
そのため、本人や周囲は「寒い(暑い)のが苦手なだけ」と考え、気づくのが難しい病気となっています。
また、冬ばかりではなく、他の季節に症状が出る季節性情動障害もあり、夏季うつ病の場合は食欲不振と睡眠不足が主な症状となります。
そのため、体重がどんどん減少していきますが、夏が過ぎれば症状も消えてしまうので「夏バテ」だと思われがちです。
太陽がほとんど顔を出さない極夜が存在する北欧においては、日本よりも季節性情動障害が多くみられます。
そのことから、季節性情動障害は太陽の光を浴びないことが原因だと考えられており、そのため、日光に近い光を浴びさせる光照射療法が有効とされています。
季節性情動障害は、体内の化学物質のバランスと体内時計の変化によって引き起こされると考えられています。
体内には、2種類の化学物質(メラトニンとセロトニン )があり、気分を管理し、睡眠パターンを維持する働きをしています。
しかし、寒い季節には、メラトニンやセロトニンのレベルが変化することがあり、このレベルが下がると、概日リズムを狂わせます。それにより、目を覚ますべき時、眠るべき時を知らせる働きをしている体内時計を狂わせるようになります。
この概日リズムの乱れにより、よく眠ることができなくなり、これらの変化の影響によって、気分が不安定になり、うつ病につながるという可能性があります。
季節性情動障害に共通する症状として、まず、抑うつ症状が挙げられます。
憂うつな気持ちになり、わけもなく落ち込む抑うつ症状は、大うつ病や季節性情動障害に共通した症状であり、ほかにも、意欲や決断力の減退などの症状がみられるという場合もあります。
次に、焦燥感の症状があり、自分の心の変化に戸惑い、焦ってしまう心の症状があらわれます。
この焦燥感からイライラや不安が生まれ、日常生活の言動にも影響が出てしまいますので、運転が乱暴になったり、物に当たったりという行動がみられるようになったら要注意です。
さらに、倦怠感の症状があり、特に疲れるようなことはしていないのに、体にだるさを感じるようになります。
この倦怠感と抑うつ症状による相乗効果によって、外出や体を動かす作業がおっくうになってしまいます。
冬季うつ病にみられる症状は?
季節性情動障害の中でも、冬季うつ病にみられる症状としては、まず、過眠の症状があり、前日ぐっすりと眠ったにも関わらず、次の日に何時間眠っても眠気が収まらなくなってしまうようになります。
過眠が行き過ぎてしまうと生体リズムが崩れてしまうため、昼夜逆転の生活になってしまい、症状の改善が難しくなってしまうということもあります。
また、過食の症状があり、特に炭水化物や甘いものを欲しがる傾向が出てしまうため、あるだけ食べてしまうようになってしまいます。
手軽につまめるスナック菓子などは、極端な体重の増加にも繋がり、さらに、過眠や倦怠感と相まって、運動不足になることから、見た目の極端な変化がおきてしまい、社会不安障害に繋がってしまうというおそれもあります。
季節性情動障害の中でも、夏季うつ病にみられる症状としては、まず、不眠の症状があり、眠れない、または眠りが浅いという状態が続くことから、体に疲れが残るようになってしまいます。
不眠によって自律神経が乱れ、自律神経失調症を発症し、それから発展して大うつ病になるという危険性もあります。
また、食欲不振の症状もあり、食欲がなくなり、食事をとること自体に消極的になるようになります。さらに、倦怠感から体を動かすことがおっくうになるので、自炊や外食もしなくなってしまい、最悪の場合、摂食障害になってしまうこともある症状となっています。
放っておくと、深刻な精神疾患に繋がるということもあります。
決まった季節にのみしか症状が表れない病気である季節性情動障害ですが、食欲や睡眠に関する異常や抑うつ症状を、決まった季節にしか表れないからといって放っておくと、深刻な精神疾患に繋がるということもあります。
季節性情動障害については光照射療法など独自の治療法が確立されています。
そのため、症状が表れる季節になる前に、一度医師に相談しておくことをおすすめします。。