マタニティーブルーと産後うつ病とは?症状や診断は?【うつ病の種類】
産後間もなくして情緒不安定になる産後うつ病
マタニティーブルーとは、待望の赤ちゃんが産まれてとても嬉しいはずなのに、突然、悲しい気持ちになったり、訳もなく涙が出たり、不安で眠れなくなったり、やる気が起こらなかったりして、産後間もなくして情緒不安定になることをいいます。
出産後すぐから2週間後にかけて発症することが、マタニティーブルーの特徴となっています。
マタニティーブルーは、女性の体内でホルモンバランスが乱れることによって起こります。
そのため、10日から2週間もあれば少しずつ体の状態と気持ちが安定し、新しい生活や育児への意欲が湧いてきますので、マタニティーブルーの最中は、ゆっくり体を休めることが先決となります。
出産後に急激にホルモンが低下するということが、マタニティブルーの原因
出産の疲れや、慣れない育児による疲れや睡眠不足、育児に対するプレッシャーや孤独感などがマタニティブルーとなる要因ですが、それだけではありません。
出産後に急激にホルモンが低下するということが、マタニティブルーの原因として大きく関わっています。
妊娠中は、女性ホルモンをはじめとするたくさんの種類のホルモンが胎盤でつくられていますが、出産時に胎盤が体外に排出されると、ホルモンは急激に減少してしまいます。
こうした急激なホルモンの変化に体がついていけず、多くの女性が一時的に情緒不安定となってしまうことによって、マタニティブルーになると考えられています。
マタニティーブルーの症状は?
マタニティーブルーの症状としては、わけもなく悲しい気持ちになる、涙もろくなり、些細な事で涙を流す、将来に対して不安な気持ちを抱く、育児や生活に対して意欲が湧いてこない、不安感から眠れなくなる等の症状があらわれます。マタニティーブルーは情緒不安定と不安感が強くなってしまうため、不眠を訴えるという場合もあります。
家族が言った些細な一言がいつまでも気になって仕方なくなってしまったり、これから自分が赤ちゃんを育てていけるのかという不安で押しつぶされそうになったりと、産後の女性はいつも以上にデリケートになっています。
タニティーブルーは2週間程度で緩和されることが多くなっています。
したがって、気分が落ち込んでいる間は、できるだけ周囲にサポートしてもらい、みんなで楽しく育児ができる環境にすることが重要で、パートナーはもちろん、互いの両親からの協力もあると心強いと思います。
産後うつ病は時間が経っても症状が収まるということはありません。
産後うつ病は、産後2、3週間後から3カ月の間に育児ストレスを引き金にして発症することが多い症状となっており、マタニティーブルーとは違い、時間が経っても症状が収まるということはありません。
大うつ病と同じような抑うつ症状がみられ、治療が必要になり、マタニティーブルーから産後うつ病へと移行するケースもあります。
しかし、このようなケースは、稀にしか起こりません。
マタニティーブルーは産後10日以内に一過性で発症します。
しかし、それに対し、産後数週間から数ヶ月以内に気分が沈むようになり、周囲に対する興味や喜びが感じられないこと、不安、緊張、集中困難、不眠、必要以上に罪悪感を抱いて自分を責める、自分はまったく価値のない人間だと感じるなどの心の症状が出てきて、2週間経っても改善しない場合や、これらの症状の悪化傾向がみられる場合には産後うつ病が疑われます。
産後うつ病では、疲労、頭痛、食欲不振などの何らかの身体的な症状を伴い、このことは、通常のうつ病と同様となっています。
産後うつ病の特徴として、「自分の赤ちゃんが泣きやまないのは、何か子どもに大きな病気があるからだ」という気持ちにとらわれたりすることや、「私のような母親では赤ちゃんに申しわけない、死んでしまおうか。」など、訴えの内容が母親本人についてではなく、赤ちゃんの健康や母乳に関する心配など、育児に関連した内容が多いということがあります。
産後うつ病の症状は?
産後うつ病の症状としては、不安感を覚える、イライラする気持ちが高まる、子供がちゃんと眠っているのに、自分は眠れない(不眠)、食欲がわかない、もしくは気晴らしのために暴食する、育児や生活の小さな失敗で罪悪感を感じ、自分を責める、出産前に好きだった趣味を楽しむことができない、生きている意味を見いだせない、育児や家事、身だしなみなどをする意欲がわかない等があります。
うつ病の治療に用いる抗うつ剤は、赤ちゃんへの影響を考慮するので、産後うつ病の治療にはあまり使用しませんが、産後うつ病の症状が中程度、もしくは重いものになってしまった場合は、やむを得ず抗うつ剤を使うことがあります。
マタニティーブルーは産後すぐから2週間程度で発症し、時間とともに緩和される症状ですので、気持ちを分かち合える友人や周囲の理解があれば、マタニティーブルーを乗り越えることはそう難しくないと思われます。
しかし、産後うつ病は時間が経つほどに症状が悪化していきますので、産後うつ病を放置しておくと、幼児虐待や親子心中といった最悪の事態を招くことにもなりかねません。
母親を通じて、赤ちゃんにもストレスを与えてしまうということを防ぐためにも、産後うつ病に気づいたら早めに医師に相談するようにしましょう。