うつ病体験記

私の夫は双極性障害I型です。

この病気とはもう4年ほどの付き合いになりますが、今は寛解期に入っていて問題なく日常生活を送っています。

初めて夫にそれらしい症状が現れたのはちょうど仕事が忙しく、毎日帰りの遅い時期でした。
普段あまり弱音を吐かない夫が弱気なことを言ったり、夜あまり寝られないと訴えていたのが今思えば初期の症状だったのかもしれません。

ある日の朝、なかなか起きてこない夫を心配して寝室に行くと、夫は布団の中から「今日は仕事を休む。一度精神科にかかる。」と言って1日寝込んでしまいました。

少し疲れていて弱気になっているだけだと思っていた私にとって、夫が突然寝込んでしまったことは、正直なところとてもショックでした。

それから数日後、個人の精神科医にかかったところ、鬱病と診断されました。

その時は食欲不振、不眠、無気力などの症状が出ていたのでその症状に合わせて薬が処方されました。
しばらくは薬を飲みながら働いていたのですが、一向に良くならないため産業医とも相談した結果1ヶ月ほどして休職することになりました。

普段は明るく冗談もよく言っていた夫が一日中布団にいて食事もあまりとらず、ずっと寝ている姿は見ていてとても辛く、どういう風に接したらいいのかわかりませんでした。

先生からはとにかく体を休めて、できることだけして過ごすように言われていたのでできるだけゆっくり過ごせるように毎日静かに過ごしました。

数週間後、徐々に元気を取り戻した夫はよく話すようになりました。

冗談も言うようになり、いろんなことに意欲的に取り組むようになりました。
やっと鬱病が治った!いつもの夫が返ってきた!と当時の私は嬉しくなりました。

しかしこれは躁状態に移行しただけだったのです。
しばらくしてくると怒りっぽくなり、普段なら気にかけないような些細なことに対しても突然烈火のごとく怒り出し、暴力こそなかったものの物に当たることも多く、恐怖を覚えました。

さらに誇大妄想も加わり、徹夜で哲学書のようなものをノートに書きつけ、私に一方的にその説明をし続けました。

他にも、例えばバス停でたまたま隣になった赤の他人に親しげに話しかけていつまでも話をやめない等極端に外交的になっていました。思い返せばこの時期が一番対応に苦労しました。

できるだけ刺激せず、理不尽なことを言われても受け流すようにしてやり過ごしていました。

当時は私自身もストレスで参りかけていて、口論になることも多々ありました。
この時、精神科医の診立ては統合失調症でした。

感情の昂りを抑える薬を飲みながらしばらく過ごしましたが、なかなか良くなりません。

この時まで個人の精神科医にかかっていたのですが、ある日の診察で転院を勧められました。
転院先は専門医の複数いて入院施設もある大きな病気でした。

転院先で診察した結果、双極性障害I型との診断を受けました。

そしてすぐに1ヶ月間の入院が決まりました。
入院中は面会も最低限にして刺激を与えないように過ごしていました。

薬の処方も変わり、入院の効果もあってか夫は落ち着きを取り戻していきました。
離れて生活することで私自身もストレスが軽減され、落ち着いて対応できていたと思います。

退院後も通院の他に復職のためのグループワークに通い、徐々に社会復帰に向けて準備を進めていきました。

医師の診立てがよかったのか、夫はどんどん良くなっていき、転院から半年足らずで復職を果たしました。
復職当初は時短勤務などで様子を窺いながら働いていましたが、今では通常の勤務時間で問題なく働いています。

職場での人間関係上でのストレスが原因。

双極性障害のそもそもの原因は何だったのか、本人に聞いてみると仕事が忙しかったことと職場での人間関係上でのストレスだと答えます。
私はそれに加えて夫婦間のストレスもあったのではないかと思っています。

当時、結婚して2年ほどでしたがお互い遠慮があり言いたいことをきちんと言える関係ではなかったように思います。

お互いに言いたいことは溜め込まず、適度にガス抜きをする。
とにかく余計なストレスを抱え込まずに済む環境を作ることでこの病気と今も付き合っています。

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