仮面うつ病は身体症状のみに現れる?【体験談】

私が仮面うつ病と診断されたのは10年前の35歳の時でした。
その2年前に仕事中の事故で右手に大ケガを負い、手術とリハビリにより回復に至り職場復帰したのですが、うつ病の原因はそのケガによるものでした。
多少の障害は残ったのですが、仕事をする上で大きな問題もなく日常生活も普通に送っていた私に異変が起こったのは、職場復帰してから半年ほど経ってからでした。
時おり、めまいや吐き気といった症状が出始めましたが、もともと楽天的な性格だった私は体調が崩れているぐらいにしか考えず仕事を続けていました。
しかし、症状は悪化し特に吐き気と胃の不快感が強く現れるようになりました。
場所や時間といった特定する要素もなく、突然そのような症状が現れ、その頻度が多くなってきました。
医者嫌いの私でしたが、さすがに心配になり内科を受診して、薬を処方してもらったり胃カメラの検査もしましたが異常はなく、薬を飲んでも良くなることはありませんでした。
今度はその症状とともに身体の倦怠感が強くなってきました。
ただの疲れとして気持ちを入れ替えて仕事を続けましたが、今度はその症状とともに身体の倦怠感が強くなってきました。
現場作業員である程度の責任を任せられていた私は、それでも重い身体に鞭打って仕事を続けましたが、帰宅すると今までとは違う疲れでテレビを見ていても頭に入ってこず、横になっていても落ち着かない状態になっていました。
もう一度、大きな病院で検査をしてもらうことになりましたが私が一番気になっていた症状が、胃の不快感だったので内科を受診しました。
様々な検査を受けましたが、やはり異常は見当たらず胃薬を処方されただけでした
原因が分からないということが不安を増大させたのか、徐々に会社に行くことすら苦痛になってくるようになり、頭の中は体調不良のことばかりで仕事に集中できなくなり単純なミスや物忘れが出始めました。
それでも立場上そのことを社内の誰にも話さず、明るく振る舞っていました。
ある朝、とうとう会社に行く気力がなくなり、とりあえず体調不良という連絡を入れて休みをもらいました。
翌日になっても体調は回復せず、それどころか会社に連絡を入れることすらできず、そのまま欠勤という形になってしまいました。
一人暮らしだった私を心配してくれたのか、会社の人が自宅に訪問にきましたが、気持ちはあっても身体が玄関先まで向かず居留守を使ったような形になってしまいました。
会社からの連絡で両親が自宅に来てくれ話をいろいろ聞いてくれ、病院に付き添って連れていってくれました。
この時点で、自分の身体の症状を正確に伝えることはできない状態にあり、内科の先生は精神科を勧めてくれました。
翌日、両親に付き添われて訪れた精神科での診断は仮面うつ病というものでした。
今までの経緯を聞いた先生の診断は、ケガによって失われた労働能力を無意識のうちに気にかけ、その心労が蓄積されて身体症状に現れているというものでした。
心が落ち込むのが一般的なうつ病と理解していた私でしたが、うつ病は身体症状のみに現れる場合もあるようです。
その後は、半年間に渡って会社を休職しデパスとトレドミンを服用することで症状は改善に向かっていきました。
現在も通院はしていますが、薬は頓服用として処方されており服用することはほとんどなくなりました。”