双極性障害1型と診断されて5年間闘病中の弟。【体験談】
弟は12歳位から双極性障害1型の症状を見せていました
私は70代の父母と6才年下の妹と9歳年下の弟がいる未婚の40代男性です。
現在私は父母と弟とともに同居しており、この同居している弟が精神科医によって双極性障害1型と診断されこの5年ほど闘病を続けています。
(ただし、診断を受けずに発病に気づかなかっただけで実際には弟は12歳位から双極性障害1型の症状を見せていました。
最初に私たち家族が、弟の精神状態が突飛であるということに気づき始めたのは彼が中学校1年生の時でした。
同級生にいじめを受けているというようなことを訴えてきました。
急に学校に行くことを拒否するようになり理由を尋ねてみると、とある同級生にいじめを受けているというようなことを訴えてきました。
ただその内容が単なるいじめのレベルではなく、学校ぐるみで弟を脅かしていてその先頭に立っているのがその仲の悪い同級生だということでした。
母が電話で担任の教師に確認したところでは、弟は特別誰かにいじめられるという性格ではなくむしろその弟が指摘している同級生とは仲がよいように見えるとのことでした。
実際のところは確認することができないので推測するしかないのですが、常識的に考えて学校ぐるみで一人の人間を陥れるなどということがあるはずはないので弟はノイローゼにでもなったのだろうと結論づけ無理に登校などをさせることはしませんでした。
それから弟の不登校が始まりましたが本人の意思は高校や大学へ行きたいということでしたので学習塾に行かせることにしました。
家と学習塾の往復だと精神が安定していることが多いらしく、躁状態の時に途方もない夢を語って驚かせる以外には家族を困らせるようなことはほとんどありませんでした。
ある日突然「学校には馬鹿しかいない」と言い出して。
それから数年が過ぎ弟は18歳の時に定時制高校に通い始め父母は涙を流すほど喜んだのですが2年目に入ったある日突然「学校には馬鹿しかいない」と言い出し学校に通わなくなってしまいました。
その当時新人の会社員だった私は弟の精神状態に関与している余裕がなく状況がよくわからなかったのですが、考えてみると躁状態だったようで「俺はビッグになるビックになれる人間だ」というようなパラノイアを毎日呪文のように唱えていたと後に父母から聞きました。
そのことがあってから弟はいわゆる引きこもり状態になり、鬱状態の場合は一日中ベッドから動かず躁状態になるとネット掲示板やSNSで誇大妄想を書いて一日中過ごす生活が10年間以上続き、身長168センチで100キロ超とかなりの肥満にも苦しんでいました。
しかし、この間の経過は10代の頃と同じく大言壮語の癖はありましたが、精神的には比較的安定していたようでインターネットで知り合った友人とオフ会などに出かけそこでは問題を起こしていないようでした。
弟自身が今でもこの20代前半の頃が一番楽しく懐かしくあの頃に戻りたいとよく言っています。
転機が訪れたのはこのインターネットで知り合った友達の紹介でパチンコ店でアルバイトすることを勧められたことからです。
私達家族はまさか弟が自分から働くとは思っていなかったのでとても喜び通勤服などを新調して送り出しました。
結果的にこの時は2週間ほどで職場内で暴言や暴力をふるってしまい、父が弟のアルバイト先まで出向き連れ戻すという結果になりました。
父がこのことについて弟に対して叱責をすると弟は父に対して暴力を振るい、その後は鬱状態になり以前よりひどい引きこもり状態に陥ったのでその頃やっと鬱病という病気の存在を知った我々家族は自宅から近くの大学病院に鬱状態の弟を連れて行き診察を受けました。
定期的な通院と処方通りの服薬がとても大事
3回ほどの診察で双極性障害1型という診断を受けた弟には気分の波を抑えるためのリチウム(リーマス)と鬱状態の予防としてラモトリギン(ラミクタール)を処方され、定期的に服用するように命じられました。
また鬱状態の頓服薬としてパロキセチン(パキシル)を処方され、担当医師からは本人に任せず服用に関しては家族の協力が必ず必要であると通達され、特に私には定期的な通院と処方通りの服薬がとても大事であることを医師が何度も念押ししたのを覚えています。
しかし気分が安定している時は素直に従ってくれるのですが、躁状態の時は「自分は兄さんより医学にずっと詳しいから黙って見てていいよ!」などと言い出し全く聞き入れてくれません。
現在では私達家族も躁状態の時には説得することなのは完全に諦めているのですが初期の頃は躁状態であるとむしろ普段よりも理解力が増しているような態度を取るのでこちらも一生懸命に医師からの助言を伝えるのですが全て反発されて終わりました。
ここからはもう家族全員が弟に服薬を守らせるために説得する努力の連続です。
弟の躁状態のときの万能感はは若いときよりも日を追うごとに酷くなってきて、先日は弟の能力とはとても見合わない企業の面接に行き「全員バカだから色々教えてやった」と嘯くまでになり、順調に服薬と通院をしてないことがさらに事態を悪化させているのだろうと私は悩むことしきりです。
また医師からの忠告で家族との真剣なコミュニケーションが大事だということでしたので弟に目標を与えそれをこなしたら褒めるというような認知療法を行っている途中に躁転してしまうことも多々あり、むしろ兄である私が弟の精神病を悪化させているというような非難を家族から受けたこともありました。
確かに鬱状態の時の弟は声を立てることもほとんどありませんし、ほとんど部屋でじっとしているばかりなので危険を感じることはありません。
家族全員で協力することが望ましいと説明を受けました。
この状況を担当の医師に説明したところ、処方薬を必ず定期的に服用するように家族の協力が必要なことと、家族の中で孤立してしまってコミュニケーションがなくなってしまうと鬱状態のときに自傷する可能性が高くなってくるので家族全員で協力することが望ましいと説明を受けました。
このことを母に説明すると母は十二分に理解してくれて以後は私が弟に干渉することに協力してくれるようになりましたが妹は双極性障害を持っているこの弟を家族とは思えないと言い始め実家には寄り付かなくなりました。
現在30代になった弟は再び酷い肥満に悩まされて抗うつ薬の他に高血圧薬のバルサルタンと糖尿病薬のスイニーも処方されるようになりました。
双極性障害1型患者に病識を持たせるというのは容易なことではありませんが通院や服薬を諦めてしまえば治療は難しいと医師にも明言されていますので試行錯誤しながら弟と粘り強く議論して行くしかありません。
一番理想的なのは精神が安定している時の弟に心の底から納得してもらい正確な病識を持ってもらうことだと思いますが今のところ全く目処が立っていないのが実状です。”