漢方薬でうつ回復?効果・効能は?【うつ病予防&治療法】
うつ病のいろいろな症状に対して単一の処方(薬方薬)で対応可能
現在、うつ病の日本国内の患者は100万人を超えるともいわれており、うつ病は「心の風邪」とも呼ばれています。
うつ病は、正しい治療を行いさえすれば、半年から1年で治るのが一般的とされていますが、実際には4人に1人は治療に2年以上の期間がかかり、さらに患者の約半数が再発してしまうということです。
また、うつ病の医師の能力にも差があるそうです。そのため、不必要に多くの種類や量の抗うつ薬を投与され、その抗うつ薬の副作用でうつ病がさらに悪化してしまったというケースもあるようです。
漢方薬のメリットは、副作用が少ないという点と、うつ病のいろいろな症状に対して単一の処方(薬方)で対応可能という点です。
体内の「気」のバランスが崩れて、うつ病等の精神病にかかりやすくなります
例えば、長期にわたって不安定な精神状態が続いたり、突然、精神的な苦痛を味わったりすると、体内の「気」のバランスが崩れて、うつ病等の精神病にかかりやすくなります。
漢方において、この「気」は生命活動を維持するエネルギーであると考えられており、「気」の変化は心身の活動に影響及ぼしてしまいます。
そのため、「気」の流れにストレス等の影響によって異常が発生すると、心と体の両面に病気が現れるようになり、初期の「気」の異常状態を「気うつ(気滞)」と呼んでいます。
この「気うつ」は「気」が停滞した様態で、気分が落ち込んだり、不安やイライラに襲われたりしますが、この状態が悪化し、「気虚」という「気」が不足した状態となると、無表情となって何もやる気が起こらないという状態に陥ります。
漢方の治療では、自覚症状と他覚症状・体質による総合判断である「証」を考慮し、体力が弱っている状態を「虚証」、体力が充実している状態を「実証」、そして両者の中間の状態を「中間証」と呼んでいます。
漢方薬は、この「証」とうつ病の進行度に応じて選択するようになります。
加味帰脾湯、柴胡桂枝乾姜湯、加味逍遥散、体力が虚弱の患者に香蘇散
「虚証」の特徴としては、体力や抵抗力が低下していて、生理機能が衰えている状態であり、痩せていて顔色が悪く、疲れやすく、消化器系が弱くなっているという点が挙げられます。
具体的な漢方薬としては、体力が中等度以下の患者に、加味帰脾湯、柴胡桂枝乾姜湯、加味逍遥散、体力が虚弱の患者に香蘇散といった漢方薬が用いられることが多くなっているようです。
「虚証」の特徴としては、体力・抵抗力があり、生理機能が高まっている状態で、筋肉質で体格もよく、消化器系が丈夫であるなどの点が挙げられます。具体的な漢方薬としては、体力が中等度以上の患者に柴胡加竜骨牡蛎湯、体力の充実した患者に大承気湯といった漢方薬が用いられることが多くなっているようです。
「中間証」は、ある特徴は「虚証」を示し、別の特徴は「実証」を示しているというように、特徴が明確に虚実のどちらかに偏ることがない場合です。
具体的な漢方薬としては、体力が中等度以下の患者に半夏厚朴湯、体力が中等度の患者に、柴朴湯といった漢方薬が用いられることが多くなっているようです。
授乳中の方は乳児が下痢になる可能性がありますので注意が必要
このような漢方薬のなかで、柴胡加竜骨牡蛎湯、大承気湯は、妊婦が使用した場合は流早産の危険性があり、授乳中の方は乳児が下痢になる可能性がありますので注意が必要です。
また、半夏厚朴湯、柴朴湯、加味帰脾湯、柴胡桂枝乾姜湯、香蘇散は、妊婦・妊娠している可能性のある方は使用できない場合がありますので注意が必要です。
漢方薬は副作用が少ないとはいえ、個人の体質や病態に合った微妙な処方は難しくなっています。
そのため、漢方に熟練した医師や薬剤師に処方してもらうようにしたほうが無難であると思います。