背中の痛みや胸部の痛みから始まった仮面うつ病。【体験記】



うつ病 診断

「いつもと違う」身体の不調が仮面うつ病の始まりでした。

身近な家族が、うつ病と診断されたらどうしますか?

ほんの少しの「いつもと違う」身体の不調が、少しずつ少しずつ蓄積していき、本人が気付かないうちに発症してしまうこともあるんです。

うつ病には色々な種類があり、原因も様々です。
日常生活の中のストレスが原因なのもあれば、ストレスにも気付かず何が原因かわからないもの、中には本人さえ気付かない、幼少期の体験が引き起こすもの、大切なものを失った喪失感からくるもの、身近で特定的な人物の影響によるもの、その他原因は様々です。

現在、身近な家族が苦しんでいる病は、仮面うつ病といいます。

仮面というのがポイントで、あからさまにうつの症状が前面化しているのでなく、うつに見えないが実はうつで、様々な身体の不調を引き起こす真髄となっていて、線を繋げていかなければうつとは気付かれない位の隠れた存在のものを仮面うつ病といいます。

その症状は一貫性はなく、人それぞれの症状が現れるのですが、現在最も苦しんでいるのが背中の強烈な痛みとパニック障害という不安症を引き起こしていることです。

これもややこしい話で、パニック障害はうつと関係ないじゃないかという疑問も浮かびます。

ですが、明らかに仮面うつ病が起因となり背中の痛みや胸部の痛みが大きな不安となって押し寄せ、自分で自分の身体に起こっていることが理解できず、死ぬのではないかという不安を呼び、パニック障害という不安障害を引き起こしているのです。

まず、初めに出た症状は背中の痛みでした。

そして胸のつかえや胸部の痛みが現れ、心臓疾患を疑い、救急病院へ駆け込みました。
救急病院では異常は見られず、平日にさらに詳細な検査をするよう言われ、循環器の病院、そして念のため脳神経外科や整形外科も受診し、レントゲンに始まり造影CTにMR、詳細が判る心電図、血液検査等を行い、出た結果は異常なし。

内科や神経内科も受診しましたが、やはり異常なし。

ただどの科でも言われるのは、微熱があり頻脈があり炎症反応が診られるとのこと。
それでもどの科に何度行っても異常なしなのです。

その後も普段通り生活しますが、はやり不調は続き、背中の強烈な痛み、胸のつかえや胸部の痛みは無くならず、それに加え眩暈や震え、動悸に呼吸困難、挙句の果てに外出時に猛烈な恐怖や不安を感じ、動けなくなったり倒れたりするようになりました。

本人の自覚する症状としてはそれらがありましたが、日常生活を見ている家族としてはその他色々な変化を少しずつ感じていました。

まずは生活の乱れです。

朝型活動型だったのに、いつの間にか朝起きれず夜型になり、睡眠も3,4時間継続して眠り、あとは起きている状態が続き、次第に食が細くなりました。

体重も減少し顔色も悪く、目に活力がなく、外出や家族以外の人との関わりを面倒くさがるようになり、入浴をしなくなったり、人の話に興味を持たなくなったりと変化がありました。
その症状は、祖父母との死別、突然死した人との死別を境に出たような気がします。

そして何より死というものに異常に反応するようになりました。
死にたいという欲求はないように見えますが、死を格別恐れていました。
そのことから不安障害も併発してしまったようです。

パニック障害の症状も出て、動悸息苦しさ極度の不安に襲われるようになり、ついに本人も、そして家族である私も、精神病を疑いました。

それがきっかけとなり、心療内科を受診することになりました。

まず内科的な検査を一通り行い、その結果に基づきカウンセリングを始めました。
やはり、内科的な異常はなく、それまで受診したどの科でも指摘された微熱と頻脈、炎症反応だけを告げられました。

そしてカウンセリングを行い、まずはパニック障害の診断が付き、さらに深いカウンセリングで仮面うつ病と診断されました。
うつ病はこころの病と言いますが、現在の医療で脳の病気であることがはっきりとしています。

セロトニンの分泌が上手くいかなかったり、不安や恐怖を司る場所の神経伝達が間違っていたり、脳自体が委縮していたり成長の過程で小さかったりするのです。

脳自体の診断をはっきりと出せる医療機器の普及がなされておらず、未だ国内の心療内科や精神科でははっきりと脳の検査結果を出せる医療機関が少ないのですが、明らかに脳の病気であるということは世界的にも認められています。

その為、うつ病と診断された場合、脳内環境を改善する治療が行われます。

抗うつ剤の投薬や神経回路の回復のための成分分泌を促進する薬が一般的です。
まずは投薬に加え、認知療法も取り入れることになりました。

コンスタン、レスタス、トーワミン、リリカ等が処方され様子見になりました。

その他呼吸法の指導と根本的な原因は何かを探るカウンセリングも行われました。

結局、死別等はきっかけに過ぎず、原因は幼少期の親からの虐待、愛着障害などがあることがわかりました。

発症後、痛みや体調不良から仕事もできず、一人で日常生活も出来ない状態が続き、現在は精神障害認定されています。
障害年金の申請や、障害手帳の申請も行い、本当に長い闘病生活になりました。

とにかく、当たり前にある日常生活が出来なくなることが一番問題だと感じます。

本人は勿論、それを支える家族の心身状態の維持の難しさ、そして社会の中での精神障害者の位置づけ。
やはり白い目で見られることも多々ありますし、一線を引かれることも問題だと感じます。

脳の病気であるという世界的な認識が国内で広まり、その治療法も確たるものとなり、社会生活もなんら支障なく過ごせることが何よりの治療になるのでないかと思います。”

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