うつ病 症状

他の病気として誤診されてしまう可能性が高い?仮面うつ病

普通、うつ病とは思えないような、他の症状の発生という仮面によって、うつ病本来の症状が見えにくくなっているうつ病のことを、仮面うつ病といいます。
一見しただけだと、うつ病ではなく、それ以外の病気のように見えてしまうため、他の病気として誤診されてしまう可能性が高くなる病気となっていますが、その正体はうつ病です。

仮面うつ病とは、1950年代で既に認識されていた、古い概念となってはいます。

普通、うつ病というと、落ち込んでしまう、興味や喜びを感じなくなってしまう、集中力とかやる気がなくなる、消えたくなってしまう等の精神的な症状が見られるものが典型的となっており、こういった症状がある場合では、うつ病の診断も正確に行われやすくなります。

ただ、うつ病の中には、なんかだるい、下痢が続く、お腹が痛い、頭痛が止まないなどという一見すると、うつ病とは関係ないと思われるような症状が多く発生するものがあり、これを仮面うつ病と呼んでいます。
このような症状が出現した場合、内科を受診するという方が多くなりますが、内科でいくら検査したとしても、その症状の原因と思われる異常が見つかりません。

また、頭痛薬や胃薬などによって内科的な治療をいくらしたとしても、これらの症状は改善しません。

そこで、「これはどうも内科の病気ではなさそうだ」ということで、より詳しくその症状を解析してみると、身体症状の背後にわずかながらも抑うつ症状が隠れており、そして、うつ病の治療をこのような患者に実施した場合、良く反応し、改善していくようになります。

このように、主に軽症のうつ病の患者の中で、落ち込んでしまうなどの、典型的なうつ病の精神面での症状が、あまり発生してはおらず、身体的な症状である、腹痛、頭痛、倦怠感などの症状が発生しているうつ病があることが発見され、このようなうつ病のことを「仮面うつ病」と呼ぶようになりました。

仮面うつ病の症状はその患者ごとにそれぞれ異なり、一概には断定できません。
しかし、その症状を大きく分けると全身を襲う症状である全身症状と、部分的な症状に分けることができます。

仮面うつ病において、もっとも一般的な症状としてあらわれるのは、倦怠感や全身の疲労感であり、身体のだるさを感じるのは、ただ単に疲れている影響だと思いがちですが、それは、いくら休養しても回復しません。

週末に十分に休んだとしても、月曜日にはまだ疲れが残っているというようになってしまいます。
また、睡眠障害や不眠も、仮面うつ病においてよく発生する症状としては、特に夜中の2時から1時ごろまでの間に目が覚めてしまう早朝覚醒という睡眠障害が多くなっています。

不眠が続いてしまうと仕事の能率も下がるため、身体にもさまざまな異常があらわれるようになります。

また、「性欲の減退」、「食欲不振」も全身症状としてあらわれるようになり、性欲も食欲も人間の本能となっていますが、仮面うつ病を発症すると、生きる力が低下して、そうした人間としての根源的な欲求も低下してしまうようになります。

食欲不振が続いてしまうと、当然やせてきてしまいます。

そして、体重も減少し、また性欲の減退は、男性の場合ではインポテンツ、女性の場合では無月経などの症状としてあらわれるようになります。
仮面うつ病の全身に発生する症状としては、これらのように体調がどこかいつもと違ってすぐれない、という違和感から始まっていきます。

次に部分的症状では、全身症状で出る症状とは異なり、症状がはっきりと局所的に出てくるということが特徴的となっています。
症状がもっともあらわれやすい臓器は「胃腸」となっており、具体的には腹痛、吐き気、また、そのほかにも嚥下困難、便秘、味覚異常、胸やけ、食道や喉の狭まった感じなどの症状があらわれます。

このような症状が長く続いた場合、、過敏性腸症候群や慢性胃炎やなどと診断されることが多くなっているため、実はうつ病が隠れているということが見逃されてしまうことが多くなっています。

また心臓に発生する症状としては、動悸や胸部の不快感、狭心症の発作時に起こる不安感などがあり、さらに、立ちくらみや動悸をともなう病気として、思春期に起こる「起立性調節障害」という病気があります。

しかし、この「起立性調節障害」ではと疑われていて、実際は仮面うつ病を発症していたというケースも多くなっているため、頭痛、腹痛、全身の倦怠感などをともなう場合は注意が必要となります。

その他の症状として、呼吸器官に発生する症状としては、呼吸困難感、胸痛、過呼吸などがあります。

ただ、うつ病診断のバロメーターになるのは、「ため息」となっています。
そのため、注意が必要なのは、無意識のうちにため息をつくことを繰り返している時です。

その他に発生する部分的な症状としては、手足のしびれ、腰痛、背中の痛み、頭痛、肩こり、筋肉痛など、人によって、実にさまざまなものがあります。

さらに泌尿・生殖器官に発生する症状としては、排尿痛、不感症、頻尿、睾丸の痛みなどがあり、副交感神経、交感神経がバランスを失ってしまい、そのために自律神経性症状としての耳鳴り、目のかすみ、めまい、口の渇き、発汗などの症状があらわれるということもあり、仮面うつ病では、このような部分的な症状を多くともないます。

しかし、最大の特徴は「痛み」であり、胸痛、腹痛などによる、身体の各部分の痛みは、倦怠感、睡眠障害などとならぶ、仮面うつ病の代表的な症状であり、発生頻度の高いものとなっています。

しかし、痛み止めなどの薬を使用しても、あまり治療効果はありません。

そのため、これらの機能を回復させるためには、仮面うつ病の本当の原因である精神的な症状をつきとめ、適切な治療をするということが何よりも必要となります。

仮面うつ病の主な治療方法として、一般のうつ病と同様に、抗うつ薬の服用によって症状はよくなります。

「病は気から」という格言の通り、体の不調の原因はまず心からという場合もありますので、仮面うつ病には十分に注意するようにしましょう。

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