私が高校3年生の頃、父がうつ病と診断され仕事を休職。【体験ブログ】
うつ病と診断される前から父は顔を下に向けながら家を出ていく人でした。
仕事でどんなに辛い事があっても家族の為に耐えてきた父でしたが、それが30年以上も蓄積されると精神的に疲れてしまったようです。
まず目で確認できた症状としては、覇気がない、食欲がない、何をするにも無気力、記憶力の低下でした。
覇気がないのは、元気があった時に比べて帰ってきて冗談を言う余裕もない事から一目で分かりました。
そして何よりも、食欲の塊であるかのようによく食べていた父がサラダを食べるだけで満足してしまうのには驚かざるを得ませんでした。
さらに、よく本を読んでいた父でしたが、その本を読む事も極端に少なくなり、読んだ本の内容を聞いても内容を忘れている事が多かったです。
これらの症状により、家族全体の雰囲気が日に日に悪くなっていきました。
当時、高校3年生だった私は父の収入が無くなり、高卒で就職しなければならないのではないかと考えました。
幸い、父は公務員であった為その心配は後に無くなりましたが、何もしない抜け殻のような無気力な人間がいるとこちらの精神にも影響が出てきます。
母はヒステリックになり、私や弟は上位だった成績がどんどん落ちていきました。
悪い気は移るとよく言いますが、その通りの現象が私の家族に起きていました。特に困った事は、近隣の住民に昼間から父の姿を見られてしまう事でした。
都心では大した問題ではないのでしょうが、田舎では顔を知らない人はあまりいない為、父が連日外に出ていると仕事をしていない事が周知されてしまいます。
これを嫌った母が父にあまり外出しないでと言っていた事を思い出します。
ただでさえ精神的に追い込まれている人に外出の制限までしてしまうと、さらに悪化してしまいます。
ここで解決策として私が提案したのは、夜に散歩をする事と、勉強を教わるようにした事、ロールプレイングゲームをする事です。
昼間はロールプレイングゲームをしてもらい、夕方は私や弟に勉強を教える。
その後は散歩をする。
これを行う事によって、ゲームの中での存在意義、現実の世界では子供に勉強を教える優しい父という存在意義を持たせる事ができました。
転職経験のある人なら分かると思いますが、次の仕事が始まるまで自分の存在意義が無いと気力は落ちていきます。
とにかく父には、自分の存在意義をしっかり持ってほしいという思いで提案しました。適した治療法では無かったかもしれません。
しかし父は、日に日にほんの少しずつですが気力を取り戻していきました。
夜の散歩も普段都心で働いて自然とかけ離れて生活していた父からすると、良いリフレッシュになったと言っていました。
また、ゲームをする事により、本からでは学べないような事も学べたし、活字から一旦離れる事でまた本を読みたくなったと言っていました。
普段していた事から一旦離れ、新しい事を始めてみる。
そして何よりも自分は必要な人間なんだと意識してもらう。
父はこの事で、心と身体を正常に戻していきました。
うつ病から仕事に復帰するまでの2年半の時間がかかりました。
うつ病には家族との対話、新しい事、自然との触れ合いが大切であると父から学びました。
現在は無事定年退職し、好きな読書と勉強をしています。