トリプトファンとは?効果・副作用は?【うつ病に効くサプリメント】

ヨーロッパ等で行われたうつ病の治験においては、既にその有効性が実証済み
トリプトファンとは、大豆製品や乳製品、ナッツ類等の様々な食物中のタンパク質に含まれており、元々は牛乳から発見された必須アミノ酸のひとつです。
食物から摂取されたトリプトファンは、肝臓や腎臓で分解されて、エネルギー源として利用されます。その後、脳に運ばれるとセロトニンを、ナイアシン、ビタミンB6、マグネシウムとともに生成しますが、このセロトニンが不足してしまうと、睡眠障害、うつ状態、不安感等が発生する原因となります。
そのため、脳内のトリプトファン濃度が高くなるとセロトニンが増えることから、トリプトファンは鎮静剤や催眠剤としての効能が期待されています。
実際にトリプトファンを使用して、ヨーロッパ等で行われたうつ病の治験においては、既にその有効性が実証済みとなっています。
トリプトファンは、普通の食事においては微小な量しか含まれていません。
そのため、特に他の必須アミノ酸と比較しても、特に不足しやすいアミノ酸となっています。
トリプトファンを多く含む食材としては、小麦胚芽、牛乳、牛・豚・鶏のレバー、大豆、チーズ、バナナ、アーモンド、まぐろ、かつお等が挙げられ、特にバナナにおいてはトリプトファンとビタミンB6のどちらの成分も含んでいるので、効率よくセロトニンを生成することが可能となります。
したがって、これらのような食材を食事に取り入れていくと、セロトニンを生成を促進させ、不眠やうつ病の症状の改善が期待できます。
トリプトファンは体内で合成されない成分であるため、毎日摂取する必要があります。
ただ、体が必要とする以上に摂取してしまうと、肝臓で脂肪の変化が発生し、肝硬変を招く恐れがありますので、注意しましょう。
トリプトファンのその他の健康効果としては、まず、鎮静効果が挙げられます。
米国のテンプル大学健康科学センターで、トリプトファンの鎮静剤としての作用の証明に関する実験が行われました。
実験内では、あごに慢性的な痛みをもつ患者のグループにトリプトファンを投与して、脳内のセロトニンの濃度を高めるようにしました。すると、トリプトファンを投与されてから、あごの痛みの軽減に加え、歯に痛みが加えられたときの耐性も強くなったという結果が出たとのことです。
次に、トリプトファンには、集中力や記憶力を高める効果があります。
トリプトファンは、神経伝達物質であり、ホルモン調節に関わって、気分を高めてやる気を生み出すホルモンである、ドーパミンやノルアドレナリンを生成するために、チロシンと一緒に作用します。
これまでの研究において、脳や行動障害の治療に役立つということが明らかになっており、オハイオ州立大学医学部の研究では、1週間トリプトファンを投与した子供たちにおいて、学習能力が向上したという結果が得られたという報告もあります。
さらに、トリプトファンを摂取することで、精神を安定させる効果や鎮痛作用があります。
そのため、5月経前症候群(PMS)に代表されるような月経前のイライラや、体の不調を改善できる効果があるとされています。
その他、トリプトファンには更年期障害の症状を緩和したり、免疫系に作用して、コレステロール値や血圧を調整したりする等の多くの効果を持っています。
このように様々な効果があるトリプトファンですが、過剰に摂取すると副作用が発生しますので注意が必要です。
トリプトファンの副作用として代表的なものは、好酸球増加・筋痛症候群というものがあります。
好酸球増加・筋痛症候群とは、好酸球が異常に増加することによって、臓器不全や重度の筋肉痛が発生する病気であり、トリプトファンのサプリメントを過剰に摂取することによって、この病気を発症した被害者は、米国食品衛生局の報告によると1500人以上となっており、その中で死亡例も37件にのぼっているそうです。
この発症原因については、未だはっきりとは判明していません。
しかし、とりあえずトリプトファンのサプリメントによる過剰摂取は避けるようにしましょう。