うつ病の妻を抱えながらの日々。【体験談】



うつ病 診断

新婚早々、妻は次第に家事もできないほどに衰弱していった

44歳の男性、会社員です。
15年前に結婚した、現在47歳の妻のことです。
妻はもともとバツイチで、私と結婚する際、私の両親や親族に結婚を反対されました。

その理由は、妻がバツイチであるということのほかに、妻の兄が犯罪を犯して刑務所に服役中であったことや、妻の家系にはほかに、いろいろ問題を抱えた人が多いということが、私の両親が以来した興信所の調査によって判明したからです。
私は妻と結婚したかったし、勝手に強行してでも結婚しようという腹積もりはありましたが、現実はそれほど簡単なものではありません。

すったもんだをした挙げ句、何とか私と妻は結婚しました。結婚式には、私の両親は出席せず、私と妻の友人や職場の関係者だけという、信じられないスタートとなりました。
私は、自分たちの生活は自分たちで何とかするもの、という思いがあったので、周囲がどう思おうが関係ないと開き直っていましたが、妻は憔悴している様子でした。

その都度、私は妻を励ましましたが、新婚早々、妻は次第に家事もできないほどに衰弱していったのです。

根気強く励ましていた私ですが、仕事から帰ってきてへとへとの状況で、妻が寝込んでいる毎日に耐え切れず、妻に当たり散らしたこともありました。

妻が体調を崩して3か月ほどして、妻と一緒に心療内科を訪れました。

待合室にはたくさんの人が並んでいて、あらためて、心を病んでいる人がいかに多いかということを思い知らされました。
妻の順番になって、医師がいくつかの質問をしたあと、医師は、「うつ病ですね」と。

私は、ひょっとしてそうかもしれないと思ってはいたものの、はっきりと医師からそう告げられてショックでした。
安定剤と睡眠導入剤を処方されて帰りました。

結婚して、これから新たな生活が始まるというときに、私は大きく重い十字架を背負わされた気がしました。
今から振り返ると、妻のほうがもっと思い心理的負担を背負っていたことは痛感されます。

このまま妻と生活していけるだろうかという不安と、自分が支えなければ誰が支えるのかという疑問と、私は毎日、葛藤していました。
妻は、相変わらず寝たり起きたりの日々で、まともに家事ができず、私が炊事から洗濯、掃除までしていました。

そんな、うつ病の妻を抱えながらの日々が、1年、2年、3年と続いていきました。

そんなある日、同じマンションに住んでいる男性で、奥さんを不慮の事故で突然亡くした方と、出会いました。

懇意になるうち、双方の実情を話したとき、その方は、「最愛の奥さんに尽くせるということは幸せなことですね」と言いました。
「自分が尽くされるより、自分が尽くす方が幸せだとつくづく思います」と。

私は、その時、妻を支えていくことは大変なことだけど、妻が死んだら、自分はどんな気分だろう、生きていてくれるだけで幸せだし、その妻に尽くせるということは幸せなことだと思ったのです。
それからは、迷いの気持ちはふっきれて、妻が死ぬまで尽くしていこうと思えるようになったのです。

仕事と家事の両立は大変でしたが、妻が心地よく思ってくれればと頑張りました。
それから半年ほどしたときでしょうか。

妻が次第に体調を回復してきたのです。

毎日服用していた安定剤や眠剤も少しずつ飲まなくなりました。すると、それにつれて、それまで常に感じていたという倦怠感や疲労感、厭世観が無くなっていったというのです。
「十字架を背負ってしまった」という私の気持ちが、「愛する妻に尽くすことはうれしい」という気持ちに変わっていったときに、薄紙を剥ぐように、妻の体調は回復していったのでした。

私の気持ちが変わってからほぼ1年後、妻はもとの健康な体に戻りました。薬を飲まなくても、眠れるようになり、家事もできるようになりました。
そして、それからしばらくして、妊娠が分かりました。私はそれまで以上に妻の体をいたわるなか、妻は無事、帝王切開で出産。元気な男の子が生まれました。

今、息子もすくすくと成長。間もなく3歳になります。

妻も元気に子育てに励んでいます。

「うつ病」の症状はまったく見られません。

この経験を通し、うつ病などの精神的な病気は存在するけれども、本人以上に、周囲の、家族の姿勢、取り組みが病状の改善に大きな影響をもたらすものであるということを痛感した次第です。

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